2018年7月14日土曜日

本の紹介(1)-ナンシー・ハバード『16ヵ国50社のグローバル市場参入戦略』



前回の記事で「自分の知見を共有する」と言っておきながら、いきなり本の紹介から入るのですが、この本はそもそもグローバル化の戦略を具体的に考える前に必ず読んで頂きたい必読書になります。

なぜならグローバル化の戦略はグリーンフィールド投資(現地法人を新しく設立して、設備や従業員の確保、チャネルの構築や顧客の確保を一から行う投資の方式のこと)だけではなく、買収など様々な方法があり、B2Bのビジネスではグリーンフィールド投資の成功確率が低いという身も蓋もない現実が豊富な事例と伴に記載されているからです。

日本を出てビジネスをグローバル化する理由は何でしょうか?
・新たな収益源を創りたい!
・ブランドを世界に浸透させたい!
・海外の優れた技術を取り込んで新しい製品を開発したい!
他にも色々あると思いますし、この中の全てというケースも当然あると思います。

ただ強調しておきたいのは、グローバル化は会社にとって大きな投資であり、退出リスクも高いものです。また立ち上げ当初は当然限られたリソースで事業を回す必要がありますので、目的をきちんと定めることと、目的が複数ある場合はその優先順位を決めておく必要があります。そしてその目的を果たす方法がグリーンフィールド投資なのかどうかは、当然客観的な検討が必要になります。

それがまた別の機会にお話しするFeasibility Studyの基盤になり、その後の事業計画にも影響してきます。例えば、製品開発に繋げるための技術発掘を目的とするなら、子会社ではなく、駐在員事務所で十分ですし、インターネットでその技術を持っている会社を見つけて個別にライセンス契約を結べば、駐在員事務所ですら要らないかもしれません。

よくありがちなのが、「グローバル化したい」という思いだけが先行し、そこに後付けで、もっともらしい目的を付けるケースです。「自社の製品は素晴らしいので海外でも売りたい・売れるに違いない」と思った時は要注意。私も日本の製品・サービスの素晴らしさは十分理解していますが、嘗て日本の携帯電話の海外での苦戦の歴史を見ても、世界に出て行く際には余程突出した技術が無い限り、ローカライズは必須になります。上記の本はそのようなプロダクトアウトの目線を相対化する上でとても役に立ちます。

また以下もローカライズでの成功事例に焦点を当てた良書なので、ご参考までに掲載しておきます。
ビジャイ・ゴビンダラジャン+クリス・トリンブルー著『リバース・イノベーション』


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それではまた。

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