2019年6月22日土曜日

マーケティング戦略を考える


先日、私が間借りしているオフィスに同居しているある日系企業が事業を大幅に縮小することになりました。その会社はディーゼル向けの製品を作っていた会社なのですが、英国のディーゼル規制がかなり厳しくなることが12年後に見えていて、ビジネスにならないと判断したようです。このように環境が変わることでビジネスが突然死するリスクというのは、すぐに察知して動くことは難しいのですが、常に情報に気を付けなければいけないという意味で、良い教訓になりました。一方で、Brexitを逆に機会と捉え、英国への新規参入を期して、問い合わせをしてきた日系企業もあり、生まれるビジネスもあれば、消えて行くビジネスも常に発生していることを考える次第です。

さて私のケースのように、少ない投資で新規の市場に参入するに際して、ターゲットを絞ったマーケティングは必須になります。そのターゲットを絞ったマーケティング戦略をまず考える必要があるわけですが、マーケティング戦略の基本の、「どの業界(セグメント)の、どんな人に、どのようなメッセージで訴えるか。その際のユースケースは何か」というのが、突き詰めて考え、チームで議論し合意するというのが最初にやるべきことになります。実際の顧客をベースに考えられるのがベストですが、そもそも新規市場で顧客ベースも少ないのが前提なので、ある程度仮説で作って走り始め、適宜修正することが必要です。

当然のことながら、日本で上手く行っていた戦略がそのまま新しい市場で使えるとは限りません(逆に使えないケースが多い)。ターゲットとしている業界・企業がどこで、商材の購買意思決定者が何に困っているのか(ペインポイント)、そのペインポイントに応えるソリューションをどのようなメッセージで他社と差別化すると最も刺さるのかを、丁寧に突き詰めて行きます。この突き詰めた結果を、ブランドや製品のメッセージに落とし込み、ウェブや販促資料もアップデートします。ローカル企業をターゲットとする場合は、当然そのメッセージが刺さるワーディングがあるので、現地社員の意見も積極的に取り入れましょう。

私の場合は、今流行りのDXDigital Transformation)関連製品を扱っていたため、DXが大きな経営課題になっている業界の中堅企業の経営層(CIOIT Director)をターゲットにしたメッセージングに取り組んでいて、それをウェブやイベントなどのブランド露出で使っています。勿論、この仮説は間違っていたら随時更新が必要ですが、ターゲットを絞ることは、ピンポイントでニーズを求めている潜在顧客にリーチすることができ、営業のリードタイムを縮めることにも繋がり、結果としてマーケティング全般の質が向上する効果があります。

Liverpool Cathedral

2019年5月25日土曜日

契約書ひな形を作る

海外の顧客や代理店を開拓する場合には、事前に契約書のひな形を(最低でも)英語版を準備しておく必要があります。私の所属する会社はソフトウェアを販売しているため、以下の契約書をひな形として、国際弁護士事務所にチェックしてもらいながら、事前に作成しました。私のケースはかなり簡単なケースだと思います。現地に工場を建てるような場合の契約の複雑さとは比較にならないと思うので、あくまで参考情報で。
  • 秘密保持契約書(NDA
  • エンドユーザ向けライセンス契約、サポート契約
  • 代理店向け契約(代理店のモデルによって複数種類必要。再販、OEM、リフェラル等)
特にエンドユーザ向けは製品ごとに必要なので、ボリューム的に手間がかかります。私も今の仕事になってから、かなり英文契約書を読む羽目になりました。また欧米の企業は契約をかなり細かく見るという先入観を持っていましたが、確かにリーガルレベルでのチェックは細かいものの、ビジネスサイドのレビューでは、取り扱いの通貨と管轄裁判所以外はあまり細かい指摘が入ったケースはありません(勿論その人のバックグラウンドも影響するでしょうが)。取り扱い通貨は為替リスクがあるので、ビジネスサイドが気にするのはある意味当然です。管轄裁判所は、いざ何かが起きた時の最後の砦として、自社が対応できる国であることが前提になるため、必ず気にされます。その辺りは製品やビジネスモデルの観点から総合的に判断して合意して行くことになります。

営業系の現地社員が既にいる場合は、その人にも現地特有の事情を考慮してもらう観点からひな形をレビューしてもらった方が良いと思います。一つ発見だったのが、代理店向け契約のひな形を現地従業員にレビューしてもらった時に、「メーカー側が物価指数対前年比かX%どちらか高い方で値上げする権利を保持する」という文言を入れることをリクエストされて、しかもそれが珍しくないことは驚きでした。英国では不動産も含めて、複数年契約でない限り、基本的に政府が発表する物価指数を根拠に値上げを言ってくることがごく普通で、上記の文言もそれを反映したものです。物価がほとんど上がらないかむしろ下がる時代の日本で生きてきた自分にとっては、一つのカルチャーショックでありました。

人事系の契約書は基本的に最初の従業員の入社日1か月前ぐらいに突貫工事で作成しました。
  • 雇用契約書
  • 個人情報取り扱いに関する合意書(欧州ではGDPRに準拠した従業員の個人情報取り扱いの会社としての義務の明記が必要です)
  • 業務委託契約書(業務委託を使う場合。先方が用意しているケースも多いです)


当然のことですが、契約の根拠になっている法規制は変化して行くものなので、定期的に弁護士によるレビュー・ブラッシュアップが必要になります。そのためにも、現地のビジネスや労働法規に精通した専門家で相談できる人は早め早めに探しておくことをお勧めします。

Canterbury

2019年5月11日土曜日

日本のIT企業の苦境を考える


久しぶりのブログ更新となります。年明けから仕事がかなり忙しくなり、来客対応やら諸々で、まだ落ち着いていないので、遅い更新になりますが、少しずつ学んだこと思ったことを書いて行きたいと思います。

数か月前になりますが、私のいるIT業界の界隈では、NEC・富士通の2大企業のリストラが騒がれました。私はバブル崩壊後のいわゆるロスジェネ世代で、大学卒業時に既に就職氷河期に突入していたのですが、当時はITバブルもあり、IT業界が私のような新卒の雇用の受け皿になっていた部分は大きかったと思います。そんな中で、ITバブルも崩壊し、IT業界のビジネスモデルもハード、ソフト、サービスへと日進月歩で動いて行く中で、IT企業の星でもあったNEC・富士通が苦境に立たされているのは、非常に残念な思いで見ています。

私がその中でも最も象徴的だと思った記事がこちら
IT大手、リストラ続く 富士通やNEC、「GAFA」に後手」
この中でNEC新野隆社長がおっしゃっていた「恥ずかしいが10年前には想像できなかった。気づいたときには追いつけなくなっていた」という言葉が、全てを物語っていると感じました。私が最近感じているのが、GAFAとの投資に対する考え方の差です。

欧米の大手企業の投資の考え方は、『ファイナンス思考』(朝倉祐介著)にも詳しいですが、10年単位で、デファクトを握ることで大きな市場が見込める分野に「一気呵成」に投資します。また撤退も早く、人単位ではなく、部署単位でスクラップするので、撤退が早くできることも、迅速な投資ができる考え方の差につながっていると感じます。先日来英した私の友人が言っていたのが、「日本企業は事業の戦略的な優先順位を決めても、古い事業を畳まず残してしまうので、結局どっちつかずになるケースが多い」と言っていました。撤退の難しさは昨年少し書きました(https://metalossan.blogspot.com/2018/12/blog-post.html)。

価値観や、上述の雇用も含め、経営者が大胆な投資に踏み切れない、その結果5-10年レベルでの差が表れている象徴が、大手IT企業の苦境であると思っています。グローバル化のために企業買収の投資に徹するというのも一つの考え方で、それが上手く行っている企業もあります(日本電産、リクルート等)。ただそのようなケースは稀で、やはり経営者だけでなく、従業員、果ては学生の頃から投資に関する考え方・哲学は学ぶ場が必要なのではないかと思う次第です。その点GAFAは、GoogleのYouTube買収を見ても、ただ買収だけでなくPMIも素晴らしく上手いと感じます(目立たない失敗投資も多数ありますが、損切りも早い)。

かく言う私も、人材・マーケティングでの投資もよく失敗して反省する日々です。日本のIT大手はしばらく苦境が続くかと思いますが、優秀な頭脳が集まっている企業でもあるので、いつか必ず復活してくれることを祈っています。



West Dean Gardens

2018年12月23日日曜日

事業立ち上げと撤退の狭間


つい先日、メルカリの英国事業撤退が話題になりました。欧州の中古市場の大きさに目を付けたのは良かったのですが、3年で3000ポンドという売上にしても、英国にいてメルカリの広告を見る機会が皆無だったことから見ても、広報に出てこない諸々の事情があったのだと思います。それにしても3年できっちり撤退判断をできるのは、ある意味立派。

このメルカリの件を見てちょっと思い出したのですが、以前ある経営者がこんなことを言ってました。
「新たなサービスをローンチし、それが当初の仮説に反して全然収益化しない事が判明すると、9割の会社が売り方や価格設定の問題と捉えて試行錯誤するが、恐らく正しくない。ニーズが無い、若しくは収益化が困難なレベルで乏しいのが正解なのだが、早い段階でその本質に踏み込めない」

これは非常に頷く話で、大体は企画段階でExitプランを立てているのですが、製品担当者あるいは経営者の思いで、ウヤムヤになったり、決断が後ズレになるというのはこれまで何度も目にしてきました。それだけ、撤退戦というのは色々な思惑や責任問題が入りこんで困難を極める問題です。本来的には即撤退か、「半年間」とか期限を設けてニーズを見極めて撤退が正しいのだと思います。価格設定や売り方の問題ならニーズ調査を詳細にすれば必ず浮き彫りになるはずですから。でも上層部がトップダウンで英断しない限り、実態としてできているケースを見たことはほとんどありません。

特に中途半端に顧客が付いてしまっていると判断が更に後ズレになりがちです。ただ前職の経験では、既に顧客が付いていたあるサービスの提供を止めた時は、営業が「売上が下がる」と反対の大合唱をしていたよりは影響が少なく(顧客へは代替サービスへの移管を提案したので、反対はほぼ皆無)、却って利益率は上がったという身も蓋も無い現実を見たりもしましたが。

またこの辺りの撤退が困難になっている理由として、上記のような思いではなく、資本関係が絡んでいるケースもあります。私も知っている英国のある中小企業は資本構成が創業時の10人弱の株主にほぼ均等に配分されています。その中の何人かは現在でも事業責任者に就いていますが、明らかに赤字事業で黒字の見込みも立っていないのに、株主であるが故に、なかなか赤字事業のクローズに同意してくれない株主もいるそうです。そのため黒字事業が長年赤字を補てんする関係がダラダラと続いているとか。それでも株主であるが故になかなか次の投資判断ができないというところは資本政策の影響の大きさをつくづく考えさせられます。資本政策の重要性は磯崎哲也氏も繰り返し著作で言及されています。

名著『失敗の本質』でも撤退戦の難しさが詳細に研究されていますが、昔も今も、戦争でもビジネスでも変わらないのは、撤退する時のステークホルダーの利害関係は、事業を開始する時よりずっと複雑になっているということ。事業開始時と撤退を議論する時はステークホルダーが既に退職していたり構成も変わっています。そうすると事業開始時の背景を再度説明するなど複雑なコミュニケーションも必要になります。嫌な話ですが、事業を開始する時点で撤退のシナリオはしっかり考えておく必要があります。勿論、その撤退プランが実現しないのが一番良いのですが。

皆様、良い新年をお迎えください。

Lille, France

2018年12月1日土曜日

パートナーを探す(2)代理店開拓

海外の未知のマーケットで自社製品(特にB2B商材)がターゲットとするマーケットにリーチするには、代理店の検討は避けて通れません。元々代理店がその国に存在するなら話は格段に楽ですが、ゼロからの開拓だとある程度のリードタイムは覚悟する必要が出てきます。代理店を使うメリットとしては
  • 顧客網を既に持っている
  • エンドユーザとの間の言語、通貨、契約面の壁を吸収してくれる
  • 自分たちの代わりに製品を宣伝マーケティングして認知度を広めてくれる

などなど色々あるかと思いますが、後発でその国に参入するとなると、他の競合製品を検討したことが過去にあるケースが多いです。そのため競合をおさえて取り扱ってくれないと意味が無いので、「何がユニークなポイントか」を突き詰めて、且つシンプルな言葉で表現できるようにしておく必要があります。私の場合はそのような練り上げた資料を作成して、コンタクトしました。製品として特許を持っているとか、圧倒的な差別化要素を持っていると話の進みは格段に良くなります。差別化要素は既に海外進出前に持っていると思いますので、それをシンプルに表現しましょう(逆に差別化要素が弱い場合はそもそも海外進出すべきかどうかという議論になります)。

コンタクトリストは割と地味に検索などでリストアップして、代表電話からというアプローチを当初取っていました。これはキーパーソンに到達するまで最低2-3か月のリードタイムが必要で、且つヒット率も低い根気のいる作業になります。コンタクトはしたものの、会話するにしたがって戦略が一致しなかったり、マーケットが一致しなかったので合わないケースも勿論多々あります。そのためにもある程度量をこなすことが必要です。

ただ後から知ったのですが、英国では電話はスパムが非常に多く、電話が取られる確率は非常に低いそうです。逆に昔ながらのメールアプローチを得意とする企業も存在します(メール内容は相当に練り上げます)。 またイベントのブースにはキーパーソンがいるケースも多く、話も進みやすいので、電話でのコールドコンタクトは(確率はゼロではないですが)あまり多くを期待しない方が良いというのがこれまで得た教訓です。また初期コンタクトを業務委託するにしても、その委託先が元々ターゲットになるパートナー候補とコネを持っていた方が当然ながら話が進むスピードも確度が全く違うので、自分がターゲットとしている企業へのコネもベンダー選定のポイントになります。

また製品だけでなく、代理店にとってはどのようなメリットが得られるかもポイントになるため、パートナープログラムのようなパートナーにとってのメリットをまとめた資料は用意しておくようにしましょう。とは言え、パートナーにとってのメリットはその製品を取り扱うことによる売上やブランド力向上なので、一にも二にも製品力とそれを見せるメッセージングが不可欠なのですが。

交渉が進むと当然、契約の話も出てくるので、代理店契約のひな形は現地の言語(最低でも英語)で前もって用意しておく必要があります。価格表なども要求される確率が高いので、現地語現地通貨で早めに用意しておくことが無難です。

ただ、(現金な話ですが)代理店交渉はこちらから顧客候補を紹介するとあっという間に進みます。鶏と卵ではないですが、100%代理店開拓に注力するのではなく、ある程度エンドユーザを開拓しておいた方が、顧客要望に関する知見を貯めるという意味でも有効と思います。

Regent Street

2018年11月18日日曜日

パートナーを探す(1)業務委託


「知見が乏しい海外のマーケットで事業を拡大するにはパートナーの存在が欠かせない」とよく言われますが、「パートナー」にも色々な種類があります。緩やかな技術パートナー(アライアンス)、販売代理店、OEM事業者等々。広義では拠点の一部業務の委託先も「パートナー」と呼ぶこともあります。まずは業務委託先探しに関しての私の経験をお話します。私の場合は以下の業務に関して、内製と委託を組み合わせながら事業運営しています(いました)。

1.       会計・税務
2.       労務
3.       営業マーケティング

12に関しては、英国で日本企業向けのサービスを提供しているところに委託しています。本来的には英国ローカルの事業者に頼んだ方が安く済むのかもしれませんが、この2つはかなり込み入った話になるケースもあり、その場合のディテールを会話上で日本語が望ましいと判断しました。特にこの2つは本社スタッフ部門の方が私より会話する機会が多いのですが、英国ビジネスの事情に精通して、英語もディテールを会話できるレベルのスタッフを抱えている会社は一般的には相当少ないという現実的な問題を考慮しても、日本人の委託先を探すのが妥当ではないかと思います。

ただ話を聞くと、割と悪質な日本企業ターゲットの事業者というのも、残念ながら存在するようなので、信用できる方からの紹介が良いかと思います。私の場合は、現地ビジネスに根を下ろしている日本人経営者の方に直接教えてもらいました。

3に関しては、リスクヘッジのため当初は業務委託先を探して委託しました。これもネットなどで探すのではなく、英国大使館や英国政府機関などから伝手を辿って行き着いた数社を入札して決めました。1年ほど委託してみて、これにはメリットデメリットがあったと思っています。簡単に言うと、

メリット
  • 人材採用コスト(時間を含めて)を下げられた
  • 委託事業者の持つ現地企業とのコネを利用できた

デメリット
  • 長期的には社員を採用するより割高
  • 営業活動を通じたノウハウを内部に蓄積するのが厳しかった
  • 委託業者が自社製品の知識を持っているわけではなく、正しい価値訴求ができるようになるまで時間が掛かった
  • KPI設定を誤ると委託先が迷走する(社員のように考えてくれることは期待しない方が良い)
  • 委託業者の中でキーマンが辞めた組織混乱の影響をこちらも受けてしまった(これは採用した社員が辞めても同じかとは思いますが…)


特にノウハウの部分が非常に大事で、外部の事業者は(契約切られるのを恐れてか)蓄積したノウハウの詳細を開示・文書化するのを渋る傾向があります。例えば、コンタクト数をこなすテレマーケティングなどを安く外注して、クロージングは自社社員でといった役割分担でノウハウも蓄積した方が有効ではないかと、今では思っています。KPI設定は私も試行錯誤でしたので、慎重に考え、シンプルな数値に設計しましょう。

Claremont Landscape Garden

2018年11月10日土曜日

リージョン間の交流


今回は少し余談です。英国での事業立ち上げのために赴任してから、これまで成功した決断と、それ以上に失敗した決断も無数にあったのですが、最も成功したと思っているのが、欧州事業を北米事業の(バーチャルで)下に付けるという決断でした。これによって何が起きたかというと、組織的にワンチームになったため、営業・エンジニアの交流が恐ろしいぐらいのスピードで進みだしました。お互い英語ネイティブなので、日本‐その他リージョンでの交流のような、ともすれば言語の壁から来る、コミュニケーションの壁もありません。チームの仲間が増えることは感情面でもチームにプラスになるので、リージョン間での組織的・心理的な壁が無くなることで、「どうすればサポートできるか」を皆考えるようにマインドセットも変わってきました。私をいちいち通さなくても日々どんどん議論が進んでゆくので、チーム力も勝手に上がって行きます。これはかなり驚きであると伴に嬉しい誤算でした。

丁度英国社員が入社してほどなく、チームアップのための「欧米の」オールハンズミーティングをやったのですが、これがまたタイミングよく情報交換が更に深まったため、大きくプラスに働きました。英米は言語もビジネスの考え方も近いので、交流によるチーム力向上を非常に楽しく見守ることができるようになりました。営業もエンジニアも、ユースケースや技術情報の交換により、思いの外、早期に立ち上がってくれたため、これは絶対的にお勧めできます。例えば、イギリスの優れた要素技術を持つベンチャーをアメリカ側に紹介したりといったことも、日々のコミュニケーションの中で気軽に出てきます。

リージョン同士の再編は大きい組織では簡単ではないですが、情報交流を促進するための仕組作りは、どのような規模の組織でもできます。SkypeSlackなど、コミュニケーションを促進するツールには今日事欠きません。最終的にはそれでビジネスが前進することが一番だと思います。企業が成長するためには製品力も不可欠ですが、人のダイナミズムがこれだけ影響するというのを目の当たりにしたのは、人生の中でも大きな喜びでした。(実はこのリージョンをくっつける重大な決断を30秒で決めたということはさておき…)

Winkworth Arboretum