2019年5月11日土曜日

日本のIT企業の苦境を考える


久しぶりのブログ更新となります。年明けから仕事がかなり忙しくなり、来客対応やら諸々で、まだ落ち着いていないので、遅い更新になりますが、少しずつ学んだこと思ったことを書いて行きたいと思います。

数か月前になりますが、私のいるIT業界の界隈では、NEC・富士通の2大企業のリストラが騒がれました。私はバブル崩壊後のいわゆるロスジェネ世代で、大学卒業時に既に就職氷河期に突入していたのですが、当時はITバブルもあり、IT業界が私のような新卒の雇用の受け皿になっていた部分は大きかったと思います。そんな中で、ITバブルも崩壊し、IT業界のビジネスモデルもハード、ソフト、サービスへと日進月歩で動いて行く中で、IT企業の星でもあったNEC・富士通が苦境に立たされているのは、非常に残念な思いで見ています。

私がその中でも最も象徴的だと思った記事がこちら
IT大手、リストラ続く 富士通やNEC、「GAFA」に後手」
この中でNEC新野隆社長がおっしゃっていた「恥ずかしいが10年前には想像できなかった。気づいたときには追いつけなくなっていた」という言葉が、全てを物語っていると感じました。私が最近感じているのが、GAFAとの投資に対する考え方の差です。

欧米の大手企業の投資の考え方は、『ファイナンス思考』(朝倉祐介著)にも詳しいですが、10年単位で、デファクトを握ることで大きな市場が見込める分野に「一気呵成」に投資します。また撤退も早く、人単位ではなく、部署単位でスクラップするので、撤退が早くできることも、迅速な投資ができる考え方の差につながっていると感じます。先日来英した私の友人が言っていたのが、「日本企業は事業の戦略的な優先順位を決めても、古い事業を畳まず残してしまうので、結局どっちつかずになるケースが多い」と言っていました。撤退の難しさは昨年少し書きました(https://metalossan.blogspot.com/2018/12/blog-post.html)。

価値観や、上述の雇用も含め、経営者が大胆な投資に踏み切れない、その結果5-10年レベルでの差が表れている象徴が、大手IT企業の苦境であると思っています。グローバル化のために企業買収の投資に徹するというのも一つの考え方で、それが上手く行っている企業もあります(日本電産、リクルート等)。ただそのようなケースは稀で、やはり経営者だけでなく、従業員、果ては学生の頃から投資に関する考え方・哲学は学ぶ場が必要なのではないかと思う次第です。その点GAFAは、GoogleのYouTube買収を見ても、ただ買収だけでなくPMIも素晴らしく上手いと感じます(目立たない失敗投資も多数ありますが、損切りも早い)。

かく言う私も、人材・マーケティングでの投資もよく失敗して反省する日々です。日本のIT大手はしばらく苦境が続くかと思いますが、優秀な頭脳が集まっている企業でもあるので、いつか必ず復活してくれることを祈っています。



West Dean Gardens

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